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2021.03.11

バーチャル株主総会について

コロナ禍によって、オンラインによる株主総会が開催されるようになってきました。日本では現在、ハイブリット型というリアルとオンラインの開催で行うバーチャル株主総会が認められていますが、今後、産業競争力強化法の一部改正により上場企業のバーチャルオンリー型が2021年6月開催から認められることとなるようです。

さて、バーチャル株主総会にはバーチャルオンリーの開催を除き、実質行われている開催方法には2通りあることは、以前の記事でご紹介しました(「オンライン株主総会の検討」)。
そこで、昨年を振り返ってこのような形での株主総会が実際にどのように行われているのかご紹介したいと思います。

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「参加型」と「出席型」の違い

バーチャル株主総会(ハイブリッド型バーチャル株主総会)には、「参加型」と「出席型」があり、その大きな違いは、オンライン総会時に株主がその場で議決権を行使できるか否か、というところにあります。
「参加型」は、オンライン総会中に議決権行使ができません。そのため、事前に議決権行使書の郵送やインターネットでの質問投票を行い、当日はライブ映像を視聴するのみとなります。
「出席型」は、総会開催中にオンラインで議決権行使や質問投票の仕組みが必要となるため、参加型よりは仕組みのハードルが高く、2020年6月開催の株主総会においても2344社中9社だけとなっています。ちなみに、参加型は、113社でした。
いずれの場合にしても、リアル開催+動画配信+議決権行使・質問投票という組み合わせで仕組みを作ることとなります。

メリット・デメリット

バーチャル株主総会には、リアル開催のみとは異なるメリットとデメリットがあるようです。
大きなメリットは、

・遠方株主にも参加いていただける
・同日同時間帯に複数の株主総会参加が可能
・コロナ禍の対策として有効
・株主総会の透明性

では、デメリットはどうかというと、あげればキリがないかもしれませんが、ほとんどはライブ配信という技術負担とセキュリティ面の不安となります。

・システムトラブルの対策
・ログインのなりすましなどのセキュリティ対策
・リアルとインターネットの同時での進行による運営負担

が大きなところのようです。
初めての開催の上、セキュリティもしっかり担保しなければならないということで、なかなか一歩が踏み出せないところもあるのではないでしょうか。

では、デメリットをどう解消すべきでしょうか。
それは、全てにおいて「準備」が重要な鍵となります。このような株主総会は初めてという会社が多いと思いますが、大体は、まず専任の担当者をチーム編成するところから始めることになります。株主総会は1回きりではありません。毎年行われることを考えると、自社にスキルを蓄積する必要がありますし、そのためにも事前に、想定されることをマニュアル化し、アップデートをすることが重要です。

考えられる主な動きとしては、
<株主へのフォロー>
・事前:招集通知による開催情報の配布とWebサイトの開設
・事前:開催方法、ログイン方法、質問の受付方法、視聴方法などのマニュアル作成
・事前・当日:トラブル対応のためのサポートチームの編成
・当日:本人確認の実施、受付

<配信>
・事前:技術スタッフの確保
・事前:配信の設計、機材やプラットフォームの選定、回線のチェック
・事前:リハーサルの実施
・事前:トラブル対応のマニュアル化
・当日:技術側(撮影と配信オペレーション)の進行管理
・事後:オンデマンド配信によるサービスの拡充

<セキュリティ面>
・システムの管理
・プライバシー対策の対応
・なりすまし防止の対応

<工夫>
・リアル出席とオンライン参加での一体感の演出
・質問回答の工夫
・オンデマンド動画の活用
・ポータルの活用

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重要なことは事前準備

前述のように書き出すと、開催がとても難しいと思えるかもしれませんが、株主にとってストレスなく視聴いただけるような仕組みを事前に準備できていれば、当日は技術的にはそう難しいことはないと考えます。もちろん、ミスが起こらないに越したことはないですが、仮に多少進行上でミスがあっても、想定さえできていれば(突発的なシステムダウンがない限りは)、開催に支障ないように元の進行に戻すことが可能です。それは、バーチャル株主総会に限ったことではなく、リアル開催であっても同じことが言えるのではないでしょうか。
つまり、バーチャル株主総会を無事成功させるためには、コストがかかってもシステムダウンだけは避けるようなバックアップ体制を必ず構築するということが重要です。
例えば、インターネット回線は、同一回線で2本よりは、別回線でバックアップを用意する。配信プラットフォームもサーバーを2つ用意、配信機材も2台用意する、など。
バーチャル株主総会を初めて行われる企業様は、こういったことを想定し回避するためにも技術的な専門業者にお願いすることをお勧めします。

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バーチャル株主総会の実施事例

昨年行われたバーチャル株主総会の実施事例が経済産業省より発表されています。 2019年6月時点では5社だったのが、2020年6月時点では、122社が実施しました。 (三菱UFJ信託銀行調査:2020年6月総会の上場会社2,344社) 今後、実施を検討されている企業様は是非参考にしていただければと思います。

<参考になる実施事例>
・事前登録は、専用サイトを用意して受付、もしくはURL等のメール送付など
・肖像権については、事前にルール策定して告知する
・動画配信遅延は、インターネット上必ず起こるため、それを想定した時間配分をおこなう
・通信障害のある旨を事前告知する
・システム環境では、自社で配信環境構築できるところ以外は、一般に利用可能なライブ配信サービスとウェブ会議の運用のパターンと第三者提供の株主総会専門システムを利用してたパターンに分けられる
・通信障害対策はバックアップを確保した上で、リハーサルを行い、対処シナリオも準備しておく
・本人確認(なりすまし対策)は、IDとパスワードを利用、株主固有の情報を利用、本人確認のための画面キャプチャの提出、ブロックチェーンの活用など
・議決権行使の優先順位を決めておく。出席時、事前インターネット、事前郵送など
・質問受付や回答方法は、事前質問受付や後日公開する
・出席型の場合は、双方向やりとりによる配信ツールのオペレーションが必要になる
・動議の提出については、リアル出席株主に限定している企業もある
・議決権行使結果はリアルタイムで公表、一体感を高めるために拍手ボタンを別で設置してる企業もある

最後に

株式会社トランス・デュースでは多くのライブ配信実績があります。一般的なライブ配信ツールやミーティングツールを活用したもの、同時通訳の国際オンライン会議などです。撮影、音響、配信オペレーション、もちろん当社の強みである映像の制作やイベント企画をはじめとする、トータルのサポートも行います。是非ご相談ください。
想定されるトラブルや技術的なサポートなどお客様と共有しながら、一緒に成功させたいと思います。

投稿者:吉川