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2020.12.23

YouTube liveとZoomを使用したライブ配信の実例②

都内某所で行われた学園祭において、ライブ配信を弊社で担当させていただきました。

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ライブ配信の概要

都内某学校の秋の学園祭にて、生徒の発表等をライブ配信が出来ないかとのお問い合わせをいただきました。配信する内容は土曜日が3公演、日曜日に2公演で、学校側でもライブ配信は初めてということもあり、可能な限り予算を抑えた配信を行いたいということから、弊社のサービス「おまかせ動画配信」をご選択いただきました。
配信はいずれも会議室から配信となり、公演内容は本の紹介やプレゼンテーション、ラボ活動の報告、オンライン講習会等ということでしたので、発表者のお姿もしくはパワーポイント資料の適宜切り替えや、これらを合成したワイプ画面が中心とした画面構成で行う形になりました。
また初めてのライブ配信ということで、発表者視聴者共に親しみやすいプラットフォームはとしてYouTube live配信とし、そこに生徒が参加できるように、Zoomのミーティングを載せる形で配信内容の概要が決まりました。

準備

・事前調査
配信会場となる会議室にはいわゆる「会議システム」が設営されてあり、プロジェクターやスピーカーを使うための映像入力切替器(特機)、アンプ、マトリックススイッチャ、DVDデッキ、VHSデッキ、ワイヤレスマイクアンプ等の装置がラックに収まっており、当初はこれらの有効利用を考えていました。

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しかし、ラック背面のネジ止め、完成図書なし、操作専任担当者不在との事で、これまでの経験上、これらの機器にアクセスするために配線抜き差しや導通テストを行うと、本来のシステムに不具合が発生して、かえってトラブルにつながる可能性があるため、会議システムの全体の利用は断念。普段から頻繁にお使いになっている切替器部分だけにアクセスして、リスクを回避しました。会議室もそれほど大きくはなく、肉声だけでも十分に声が届くため、音声の回線をシンプルにするためにも、天井スピーカーも不使用としました。

使用機材
弊社で用意した機材は次の通りです。

配線図

・カメラ1台
・マイク2式
・スイッチャー(ATEM Mini Pro)1台
・スイッチャー用モバイルモニター1式
・スイッチャー操作用ノートパソコン1式
・ミキサー1式
・ミキサー用モバイルモニター

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使用するスイッチャーは小型ながら多機能で、ボタン一つで自動的に発表者の子画面(ワイプ)とパワーポイント画面の合成もできるのですが、今回の場合はこのボタンを使うと子画面が少し小さくなりすぎ、表情がわかりにくいと判断したため、スイッチャー制御用ソフトを使用。子画面のサイズを大きくし、位置を調整し、ボーダーをつけて見やすくすることに決めました。

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少々詳しい話をさせていただきますと、スイッチャー制御用ソフトを使用ためにはスイッチャーとスイッチャー制御用パソコンを常時つなぐ必要があります。つなぐ方法はUSBケーブルかLANケーブルのどちらかになり、USBケーブルは映像出力用として別パソコンにつながっているので、残るは有線LANケーブルで接続するしかありません。
ご存じの通り、企業や学校等で有線LANケーブルを利用して弊社のような外部企業がお客様のネットワーク網(ハブ)への接続は、セキュリティーの問題からほぼ出来ないことが多いです。
このためスイッチャーと弊社の制御用パソコンを直接、有線LANケーブルで接続することにしました。通常ハブ経由ならLANケーブルは通常のストレートケーブルでの接続となりますが、直接つなぐ場合はクロスケーブルが必要となります。今回そのクロスケーブルアダプタが役に立ちました。(なんと20年前に購入したもの!)

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写真にあるように10ベース規格と恐ろしく遅い通信速度ですが、制御だけなので速度は問題ではありませんでした。またスイッチャーと制御用パソコンもネットワークの設定をDHCPから固定IPに変える必要がありますが、事前の社内テストで問題なく接続出来ることを確認しました。ただスイッチャーの電源を切るとワイプの大きさ等がリセットされるので、設定値は制御用パソコンに保存して簡単に復元できるようにしました。制御ソフトを使うことで発表者のワイプ子画面は大きくなり、パワーポイントの画面の位置を右上と右下の二か所に設定したことで、パワーポイントの文字や写真などに子画面が被らないようにその都度マウスでクリックして簡単に位置を変更することが出来ました。
このように、違和感なく視聴できるライブ配信映像のために、裏側では様々な工夫やテストなどを行っています。

当日の変更や機転

配信2日目午後の公演は3名の方によるオンライン公演会で、前日までは会議室から発表者がパワーポイントを操作して配信予定だったのですが、急遽3名とも大学研究室など会議室以外からの講演となりました。急な決定となったため、現場ではかなりの焦りが生じましたが、協議の結果各地からzoomを使ってご登壇していくことになり、パワーポイントの操作はこちらの会議室から行うことになりました。zoom用パソコンを別途ご用意していただき、このzoom用パソコンの映像出力をスイッチャーにいれて、無事にこの変更を乗り越えることが出来ました。

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急な変更はそこまで生じるものではないですが、ライブ配信はリアルタイムで行っているため、ちょっとしたトラブルは収録に比べるとどうしても発生しがちです。そこで臨機応変な対応が出来るかどうかが、ライブ配信技術者に求められる力量となっていると改めて感じました。

最後に

今回は学園祭ということもあって、生徒が主体となってプレゼンや発表を行い、先生がサポートする形で進行していきました。弊社は企業様からのご依頼が多いため、普段は秒刻みのスケジュールの対応が多いのですが、それとは違った進行となりました。緊張しながらも自由でのびのびとした、生徒の熱心さや明るさに満ちたライブ配信現場を体験させていただきました。
機材のことを熱心に質問してくれる生徒もおり、学校側のライブ配信ノウハウ蓄積という形でもお役に立てたかと思います。次回もライブ配信の機会があれば、今回よりさらに様々な試みを盛り込んだライブ配信になるのではと楽しみです。

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投稿者:佐田